家づくりにおいて、「間取り」は日々の暮らしやすさや心地よさを大きく左右する重要な要素です。
私たちは、単に部屋数を確保するのではなく、住まい手がそこで送る豊かな時間、そして家の将来までを見据えた間取りを大切にしています。
重要なのは普遍性
間取りを考える上で重視するのは、「普遍性」です。
家族構成やライフスタイルは時間とともに変化します。
子育て期間、夫婦二人の暮らし、孫の成長、そして老後。
それぞれの段階に対応できるよう、家族の要望を丁寧に伺いながら、変化に耐えうる柔軟性を持った間取りを目指しています。
ライフスタイルに合わせた変化の例
内部空間だけでなく「外部との繋がり」も非常に重要だと考えています。
庭や周囲の環境との繋がりを持たせることで、たとえ物理的な広さが限られていても、空間に奥行きが生まれ、実際よりも広く感じられる住まいになります。
風通しや採光といった気候風土の読み込みも行い、日照や通風を考慮した間取りは、快適な室内環境を生み出します。
コストも考えた工夫
さらに、コスト効率も考慮した合理的な計画を行います。
例えば「小さく建てて大きく使う」という考え方です。
ロフト空間などを最大限に活用し、無駄な空間をなくすことで、延床面積を抑えながらも広がりを感じさせる住まいを実現します。
天井裏をなくし階高を抑えることは、構造的にも有利になり、壁面積の削減によるコストダウンにも繋がります。
木を活かし、構造を大切にする間取り
構造材や造作材の「定尺」を考慮した無駄のない寸法で間取りを考えることは、材料の歩留まりを良くし、コストを抑える上でも効果的です。
これは、地元の天竜材を使う理由の一つでもあり、生産者の顔が見える関係性とともに、無駄なく大切に木を使うという精神にも通じています。
間取りは、構造的な安定性とも密接に関わります。私たちは「真壁を基本」とし、柱や梁といった構造材を現しで見せることを原則としています。
これにより、基本計画の段階から構造と整合性の取れた、無理のない間取りが可能となります。
他にもある、さまざまな工夫
日々の生活の質を高めるための細やかな配慮も忘れません。
「風通しや採光」を考慮した、居心地の良い場所、そして「半屋外的な空間」を設けることで、外部の庭との繋がりが生まれ、暮らしに楽しさを演出します。
空間に変化とリズムを与えるため、狭い部屋は天井を低く、広い部屋は天井を高くするなどの工夫も行います。水回りはできるだけ集中させて配置することで、配管や排水を効率化し、給湯などの効率も高めることができます。
また、トイレを少し奥まった場所に配置するなど、音への配慮も行っています。シンプルなデザインを心掛けることも、間取りの普遍性や使いやすさに繋がると考えています。
これらの要素を統合することで、番匠は「普通に美しい、ずっと心地よい」、そして「懐かしい、けれど新しい木の家」 を実現するための間取りを追求しています。
地域伝統の知恵と新しい技術を融合させ、地元の職人の手仕事で、長く大切に使える住まいをお届けしたいと考えています。