6月の上棟にむけて、番匠加工場で大工職人による墨付け・手刻みが始まりました。
現在では、木造軸組工法で建築する際、上棟までに行う材料加工は、加工情報をパソコンで入力し、機械加工する「プレカット」で行うのが大半ですが、番匠は墨付け・手刻みを続けています。
「大工職人による墨付け・手刻み」、「パソコンで入力し、機械加工」という文言を見ただけでも、プレカットより墨付け・手刻みの方が、手間がかかるとお分かりになると思います。
では、なぜ墨付け・手刻みにこだわるのか。
〇木の性格を読む
木はねじれや反りなどの狂いが生じます。狂いが少ない木、加工前に狂いが出ている木、上棟後に狂いが出る木など様々です。
墨付け・手刻みでは、大工職人が木目を見て、過去の経験から狂いを予測し、建物の寸法に影響が出にくいように使用部位を決め、精度の高い建物を作り上げます。
〇柱のほぞ
土台や梁に取り付く柱は、ほぞで接合します。 プレカットではほぞの短い短ほぞが基本ですが、手刻みでは長ほぞとし、木製の込み栓打ちをします。
建築基準法で定められた、柱頭・柱脚金物ももちろん設置しますが、「木を木で締める」納まりとし、木の粘り強さも保有させます。(構造のこともあわせて参照してください)
〇継手種類
土台や梁の横架材は、何本かを継手でつなぎ合わせます。
梁サイズによって制約があるプレカットの継手ですが、墨付け・手刻みでは、制約なく選定できます。
構造材が化粧で見える部分の継手には、金物補強が不要な継手を選定することができます。
〇大工職人を残す
墨付け・手刻みができない大工職人が増えています。
技術が衰退していくことや、技術がある大工職人の減少を、防がなくてはなりません。
そのためにも墨付け・手刻みの技術が発揮できる設計をし、市場に提供していくことが大切だと考えます。
番匠では、設計室の隣に大工加工場を併設しています。
足を運んで、墨付け・手刻みの様子を見学いただければ、大工職人の励みにもなります。
[山下]
2024年5月18日に、加工場での作業見学会を開催します。
ぜひご参加ください。