4年前、髙田さんから最初にご相談いただいた
「小屋の屋根を直したい」
この改修工事が、私たちとの出会いでした。

お話を伺ううちに、住まいのことだけではなく、地域の建物や昔の暮らしについても話が広がり、髙田さんが通われた小学校のことをお聞きしてとても驚いたのですが、その木造校舎は、私・眞瀬の祖父が番匠の棟梁として手がけた建物でした。
地元のみんなが通った校舎で、髙田さんにとっても幼い頃の思い出がたくさんある場所だったそうです。
小屋を直すという日常のご相談から、地域に根ざした番匠の仕事、そして木造建築が人の記憶に残してきたものが見えてきます。

「趣味を楽しむアトリエが、もっといい場所に」
ご自宅の隣には、「EL Patio(エルパティオ)」というアトリエがあります。
バイクの整備や音楽、絵を描くことなど、髙田さんの趣味が詰まった大切な場所です。
けれど改修前は、屋根があっても雨が吹き込み、雨水が落ちてきてバイクが濡れてしまうことが悩みだったそうです。
【Before】

そこで番匠で屋根の改修工事を行いました。
既存の屋根と新しい屋根との隙間をなくし、既存の雨どいを利用して新たな庇の雨水の流れをつくりました。
さらに屋根はポリカーボネートと断熱ボードを組み合わせたので、明るさを確保しながら夏の日差しを和らげます。工事後は雨の日も使えるようになり、母屋との行き来もスムーズになりました。
【After】

完成後暫くして、高田さんからオートバイの出し入れをしやすくしたいというご要望を受け、既存の住まいの玄関風除室のアルミ建具を移設再利用して間口1間の開口の出入り口が完成しました。
今ではこの場所でテーブルを出して奥様と食事をしたり、ご家族でバーベキューをしたりと楽しまれています。

「工夫して直しながら大切に使う」
髙田さんは、元バイクエンジニア。
図面を描き、試作車を組み立て、実際にテストを行いながら改善を重ねる仕事に携わってきました。机上の設計だけではなく、実際に動かし、確かめ、不具合があれば原因を探り、より良い製品へと昇華させていく。
そうしたものづくりの経験が、髙田さんの暮らし方にもつながっています。
古くなったからすぐに新しくするのではなく、手を入れ、工夫しながら、これからも使い続ける。小屋の改修にも、そんな髙田さんらしい考え方が表れていました。

髙田さんは、ヤマハ・ニュースメイトT90Nで奥様とともに11回も南米ツーリングを経験したため、世界の暮らしを知っています。遠くに行くから、帰ってくる場所のありがたみが分かる。
住まいは、人生の場所であることを、ご夫妻の話から改めて教わった気がします。

「これからも地域に残る仕事を」
番匠は、これまで新築だけでなく、地域の暮らしに寄り添えるような木造建築を守り続けてきました。新しく建てることだけでなく、今あるものを直し、受け継ぎ、次の時間へつないでいく。
そうした仕事の中にも、番匠らしさがあります。
仕事をきっかけにはじまったご縁が、人としてのお付き合いに広がっていくことも、地域で長く根ざしてきた私たちの財産です。髙田さんご夫妻との出会いは、住まいと暮らし、そして地域の記憶を見つめ直す機会となりました。

元バイクエンジニアとしてものづくりに携わり、ご夫婦で南米ツーリングを経験された髙田典男さん。
詳しくはYamaha JourneyVol.24~Vol.26 で3回に渡って紹介されています。